原子核反応を起こすには、原子核を高エネルギーに加速することが必須です。ところが、1989年に、英国と米国の電気化学の研究者が、Pd電極を用いた重水の電気分解により異常な発熱現象を見出し、Pd電極中でD+D核融合が生じている可能性を提起しました(いわゆる「常温核融合」)。このような 「凝縮系中での超低エネルギー核反応」の研究を推進しようと、2015年4月に、電子光理学研究センターと株式会社クリーンプラネットが設置したのが、この(産学連携)共同研究部門です。
常温で核反応が生じることは、従来の核物理学の常識から大きく逸脱しています。しかしながら一 方では、凝縮系が超低エネルギー核反応にどんな影響を及ぼしているのかは、十分に調べられていません。これまで世界各国で、金属中での低エネルギー核反応、Pd電極の重水電気分解・Pdナノ粒子の重水素ガス吸蔵での異常な発熱現象、重水素ガスのPd薄膜透過に伴う核変換現象等を中心に、研究が展開されてきました。観測された現象が未知の核反応によるものであれば、原子核反応の概念に大変革をもたらします。また、「凝縮系核反応」は、社会的にもクリーンな原子核エネルギーとして、将来の産業構造に大きな変化をもたらすと期待されています。
本共同研究部門では、以下の研究開発に取り組んでいます。