概要

先端量子ビーム科学研究センターでは,多種多様な量子ビーム(電子、光子、陽子、中性子及びイオンビーム),並びにこれら量子ビームにより作り出される多彩な短寿命RIを利用した研究を、全国および学内共同利用・共同研究拠点として受け入れ、また推進しています。特に、クォーク・ハドロン・原子核物理学や放射化学,短寿命RIを利活用する核薬学・核医学、さらに医療分野等を支えるイメージングなどの測定技術の研究開発など,基礎科学から応用研究まで幅広い分野の研究が展開されています.また、より高度なビーム利用実験実施のための最先端の加速器科学・ビーム物理研究を推進しています。

 近年,治療(Therapy)と診断(Diagnostics)を同時に行う医療技術であるセラノスティクス(Theranostics)医療や,環境中の物質循環、有害物質の植物浄化に関する研究といった短寿命RIを利用した新しい研究展開が注目されています。さらに,国による統合イノベーション戦略,医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランなどで,RIの製造に係る研究開発から実用化,普及にいたるまでの取組の一体的推進やRIの国産化などが謳われ,社会的に短寿命RIを使った研究やその実用に向けた取り組みが注目を集めています.このような背景のもと,当センターはこれまで担ってきた基礎科学研究の推進に加え,短寿命RI生成能力強化・利用促進・ノウハウ蓄積・利用拡大サイクルの確立,短寿命RIの利用・活用する研究者間ネットワークの構築,及び短寿命RIを利用・活用する新分野の創造を目指しています。

一方,量子ビームや短寿命RIを利用する研究の推進には,放射線安全管理・加速器の高度化など高度な専門性を持つ人材が必要不可欠です.センターが構築する研究者間ネットワークを最大限に活用し,次世代を担う人材育成も我々の責務であると考えています。