同位体科学研究部

電子散乱グループ研究概要

天然には安定に存在しない短寿命不安定核の構造研究は、現代原子核物理学に課せられた最重要課題の一つであるとともに、宇宙での元素合成過程の謎に迫るうえで決定的に重要であるため、世界中の研究者が短寿命不安定核の内部構造の研究に鎬を削っています。

原子核内部構造解明には、高エネルギー電子を原子核に照射しその散乱具合から内部構造を決定する電子散乱という実験方法は最も優れています。安定な原子核の構造を電子散乱で明らかにしたHofstadter はノーベル賞を受賞しています。

しかしながら、生成が困難で短寿命で崩壊する不安定核の場合、電子散乱実験用標的生成が非常に困難なためにいままで不可能と考えられてきました。私達は極少数の不安定核標的数で電子散乱実験を可能にするSCRIT法(Self-Confining RI Target:自己閉じ込め型RI標的)と呼ぶ画期的な標的生成技術を発明しました。この技術をもとに理化学研究所と共同で世界に先駆けて短寿命不安定核専用の電子散乱施設を建設しました。2015年秋よりいよいよ短寿命不安定核の研究を開始する予定です。

スタッフ紹介

教授 須田 利美

准教授 前田 幸重(クロスアポイントメント 宮崎大学)

助教 本多 佑記

研究教授 玉江 忠明

客員研究者 鈴木 敏男

RI科学グループ研究概要

放射性同位元素(RI)を用いた様々な研究を進めています。当センターの大強度電子線形加速器では最大エネルギー60 MeVまでの制動放射線を生成することができます。それをターゲット物質に照射することで光核反応を起こし,様々な種類のRIを製造しています。また,東北大学所有の大型サイクロトロン(荷電粒子照射)や核燃料施設(娘核種の分離)も利用しており,施設の特長を活かした相補的なRI製造を行っています。得られたRIは必要に応じて放射化学的手法により精製され,核壊変特性の研究,光量子放射化分析,元素挙動を知るための化学トレーサー,物質科学研究などに利用されています。その他,基礎データとして重要な核反応断面積・収率や制動放射線の形状なども測定しています。

スタッフ紹介

准教授 菊永 英寿

助教 横北 卓也

助教 大西 裕希