施設・ビームライン概要(加速器・ビーム)

ビームライン概要

先端量子ビーム科学研究センター三神峯事業所では以下の3つのビームラインでビームを提供しています。 (2024年現在)

ビームライン I
(RI実験)
ビームライン II
(原子核実験)
ビームライン III
(原子核実験)
70 MeV電子線形加速器

第1実験室にて照射
100 MeV電子線形加速器

1.3 GeV電子シンクロトロン

第2実験室にて照射
100 MeV電子線形加速器

1.3 GeV電子シンクロトロン

GeVガンマ照射室にて照射

加速器・ビーム性能

研究施設概要


大強度電子線形加速器
BSTリング
入射用電子線形加速器
NKS2
FOREST
RTAGX
t-ACTS


加速器・ビーム性能

先端量子ビーム科学研究センター三神峯事業所では3つのビームラインでビームを提供しています(2024年現在)。



大強度電子線形加速器

大強度電子線形加速器
 70MeVの電子線形加速器(リナック)です。1967年に300MeV電子線形加速器の低エネルギー部として建設され、震災後は第1実験室に大強度電子 ビームを供給する専用加速器として改修されました。8本の1m長Sバンド加速管および90度ビーム偏向部を含むトランスポートラインで構成されています。 第1実験室まで輸送された電子ビームはチタン窓より取り出され、コンバータでガンマ線に変換し、ラジオアイソトープ(RI)製造や放射化学などの実験に用 いられています。この電子加速器の特長は、平均電流が最大150マイクロアンペア、平均ビームパワーが10kWを超える大強度電子ビームを作り出せることです。これまでに、電子ビームエネルギー10~60MeVの範囲で運転実績があります。代表的なビーム性能を以下に示します。
Linac Energy Modulator Repetition Macropulse Peak Current Macropulse Duration Average Current
50 MeV 300 Hz 〜130 mA 3.0 µs 120 µA
30 MeV 300 Hz 〜100 mA 3.0 µs 90 µA


シンクロトロン入射用電子線形加速器(入射器)

シンクロトロン入射用電子線形加速器

シンクロトロン入射用電子線形加速器 (上流部から撮影)

 1.3GeVブースター・ストレージリング(BSTリング)にビームを入射するための最大ビームエネルギー100MeVの電子線形加速器です。2012年に建設され、第1実験室にビームを供給する大強度電子線形加速器とは独立に運転することが可能です。2本の3m長Sバンド加速管と分散部で構成されています。本電子線形加速器はBSTリングへのトランスポートラインの他に、ビーム診断用のストレートビームラインと偏向ビームラインの2つのビームラインが付属しています。

電子円形加速器 1.3 GeVブースター・ストレージリング (BST リング)

シンクロトロン入射用電子線形加速器

2013年にBSTリングに導入された機能複合型4極電磁石。通常の4極電磁石のような構造をしているが、磁極面が4極と6極成分を合わせて発生できる形状をしており、これにより色収差の補正が可能になっている。

シンクロトロン入射用電子線形加速器

BSTリング全体。周長は約50mあり、青色の偏向電磁石でビーム軌道を曲げてリング内を周回させる。手前の偏向電磁石中央部分に見えているのがBM5と呼ばれるガンマ線取り出し用のビームライン。

 BSTリングはシンクロトロンと呼ばれる種類の電子円形加速器であり、線形加速器から入射された約90 MeVの電子ビームを最大1.3 GeVまで加速してリング中に貯蔵します。ビームの加速や貯蔵に必要なエネルギーは、共振周波数500 MHzの高周波加速空洞により供給されています。リングを周回している電子ビームの軌道上に非常に細い炭素ファイバーを挿入することで、制動放射により高エネルギーのガンマ線を発生させることができ、このようなビームラインが2か所に設置されています。代表的な運転パターンでは、2秒ほどで入射ビームを加速し、10秒程度の時間をかけて 10 ~30 mA の電子から少しずつガンマ線を発生させ、その後5秒程度で再び次のビームが入射されています。これまでに、ストレージビームエネルギー0.8~1.3GeVでの運転実績があります。代表的なビーム性能を以下に示します。
Injection Beam Energy Injection Repetition Ring Top Energy Storage Beam Current
90 MeV ~0.05 Hz (typ.) 0.8~1.3 GeV ~30 mA

標識化ガンマ線ビームライン

 BSTリングには、標識化光子ビームを提供する2つのビームラインがあります。以下にその代表的な標識化ガンマ線ビームの性質を示します。
Beam line Energy Range
(Rint Energy: 1.3 GeV)
# of Bins Intensity Duty
BST-Tagger-I 0.8 ~ 1.26 GeV 160 TBC ~60% (NKS2)
BST-Tagger-II 0.9 ~ 1.25 GeV 116 TBC ~50% (FOREST)


光子ビームライン I での標識化光子ビーム

 周回電子でエネルギーのおよそ62~98 %のエネルギー領域を160分割し標識化します。光子ビームの性質は現在調査中です。
 詳細は 金田 (kaneta@lambda.phys.tohoku.ac.jp) までお問い合わせください。


光子ビームライン II での標識化光子ビーム

 通常、17秒サイクル、フラットトップ10秒で運転を行っています。周回エネルギーのおよそ62〜96%のエネルギーを116分割し標識化します。光子ビームの性質は現在調査中です。
 詳細は 時安 (tokiyasu-at-lns.tohoku.ac.jp -at-は@に置き換えてください) までお問い合わせください。


検出器テスト用ビームライン(電子・陽電子ビーム)

 GeVガンマ実験室内の荷電粒子除去用双極電磁石 RTAGX を使用し、検出器テスト用の陽電子ビーム(-30 度、-23 度ビームライン)および電子ビーム(+30 度ビームライン)を提供することが可能です。ビーム強度はエネルギーによって変化しますが20 mφ程度のスポットで kHz 程度です。陽電子ビームの-30 度ラインについては、三連四極電磁石でビーム集束することも可能です。また、偏向電磁石と三連四極電磁石の極性は変更可能です。以下に代表的なビームの性能を示します。
Beam Beam line Maximum beam energy
Positron / Electron ± 30 deg ~840 MeV
Positron -23 deg ~1000 MeV
詳細は 時安 (tokiyasu-at-lns.tohoku.ac.jp -at-は@に置き換えてください)にお問い合わせください。