電子円形加速器1.3GeVブースター

BSTリングはシンクロトロンと呼ばれる種類の電子円形加速器であり、線形加速器から入射された約90 MeVの電子ビームを最大1.3 GeVまで加速してリング中に貯蔵します。ビームの加速や貯蔵に必要なエネルギーは、共振周波数500 MHzの高周波加速空洞により供給されています。リングを周回している電子ビームの軌道上に非常に細い炭素ファイバーを挿入することで、制動放射により高エネルギーのガンマ線を発生させることができ、このようなビームラインが2か所に設置されています。代表的な運転パターンでは、2秒ほどで入射ビームを加速し、10秒程度の時間をかけて 10 ~30 mA の電子から少しずつガンマ線を発生させ、その後5秒程度で再び次のビームが入射されています。これまでに、ストレージビームエネルギー0.8~1.3GeVでの運転実績があります。代表的なビーム性能を以下に示します。

BSTリング全体。周長は約50mあり、青色の偏向電磁石でビーム軌道を曲げてリング内を周回させる。手前の偏向電磁石中央部分に見えているのがBM5と呼ばれるガンマ線取り出し用のビームライン。

2013年にBSTリングに導入された機能複合型4極電磁石。通常の4極電磁石のような構造をしているが、磁極面が4極と6極成分を合わせて発生できる形状をしており、これにより色収差の補正が可能になっている。

Injection Beam Energy Injection Repetition Ring Top Energy Storage Beam Current
90 MeV ~0.05 Hz (typ.) 0.8~1.3 GeV ~30 mA